2020.12
田代牧彦
吉野ヶ里遺跡
佐賀県・佐賀市の近くにある吉野ヶ里遺跡は、弥生時代前期から後期にかけての大集落遺跡で、二重の環濠が特長である。現在は、遺跡は史跡として保存され、建物が復元されて国営吉野ヶ里歴史公園となっている。ほぼ同時代の奈良県の唐古・鍵遺跡や大阪府の池上曽根遺跡を見学したことのある私は、弥生時代の遺跡に興味を持ち始め、いつしか吉野ヶ里遺跡へ是非行ってみたいと思うようになり、思いが叶って九州地方鉄道乗り歩きの際に見学した。JR鹿児島本線鳥栖から分かれたJR長崎本線をしばらく行くと、吉野ヶ里駅に到着する。遺跡に似合わないモダンな駅舎(1)にちょっとびっくりした後、駅前より少し歩いて入口ゾーンの公園東口に達する。そして全体の案内看板(2)を眺める。
全体は入口ゾーン、古代の原ゾーン、古代の森ゾーン、環濠集落ゾーンの4ゾーンに分かれているが、メインは環濠集落ゾーンであり、今回の案内記はこのゾーンだけを取り上げることにした。
この地域の本格的な発掘調査が始まったのは、工業団地の開発計画のために文化財発掘の事前調査を行った1982年で、その後1986年に本格調査を始めると約59ヘクタールの広範囲に亘って遺跡が広がっていることが判明し、佐賀県は工業団地計画を縮小した。更に遺跡調査が進められた結果、大規模な環濠集落が発見され、1991年に特別史跡に指定、1992年には閣議によって国営歴史公園の整備が決定された。一時は耶馬台国や九州王朝に関係する遺跡ではないかとの見方もあったが、現在は九州北部にあった多くの「くに」の一つに過ぎないのではないかとの見方もされている。
1吉野ヶ里駅 | 2 公園全体案内看板 |