資料館では、年3回無料公開しており、この時は一日当たり四、五百人と大勢の人々が見学に訪れる。
ここには創業以来の事業資料や理科実験器械・標本およびレントゲン装置、分析・計測機器などが数多く展示されている。
これら展示文書や器械は、見ただけでは分かりにくいものが多いが、無料公開時は案内まで手がまわらない状況であった。
そのため、展示品に関する情報が少ないこともあって、見学者の興味も薄れていき、立ち止まって展示物を見ることが減ってきて、
足早に館内を一回りして退館される人が実に多かったのである
これでは見学者に島津を分かってもらえるどころか、かえって「島津は難しくて、よく分からない会社」という印象を増やしただけである。
せっかく来ていただいたのだから、「よく分かった、来てよかった」と思ってもらえるやり方がないものか考えていたところ、島津OBの組織であるSSVCの存在を知った。
さっそく会長をされている栗田さんに、この特別公開時の案内役をお願いしたところ、すぐ会員の皆さんに声をかけてくださり、快諾していただけた
アンケートの結果、「親切・丁寧な対応」、「よく勉強されている。島津の歴史などが分かりやすかった」、「体験に基づいた話でとても参考になった」、
「OBが案内役を買って出ていることを知った。改めて島津という会社の良さを感じた」など大変うれしい回答を得た。
先輩OBの支援をいただき、お客様が満足してくれる館内案内が実現したのである
OBが案内する無料公開が定着し、年を重ねるごとに「島津ファン」が確実に増えてきたことを実感している
(島津資料記念館・風景)
(前島津資料館館長 左近茂樹)