<IT画文集~私の醍醐味~>    田代牧彦 1/4 

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2018.12
田代牧彦

プロローグ

 私にとって奈良は全く地縁のないところだったが、奈良市に住んでからあっという間に51年が経った。前半12年は近鉄奈良線富雄駅近くの日本住宅公団富雄団地に住み、後半39年は近鉄京都線高の原駅を中心とした平城・相楽ニュータウンの西側の右京地区に住んでいる。その結果落ち着いた静かな雰囲気の奈良にぞっこん惚れこんでしまった。
   皆さんは奈良市という地名を聞くと何を想像されますか。恐らく東大寺に代表される古い社寺と仏像、鹿せんべいをねだる奈良公園の多くの鹿、狭い道にひしめく古い家並など、つまり古臭い、かび臭い、田舎臭いところだということではなかろうか。 現代でもそれは確かに事実だが、実は全く異なる面もある。それは、奈良市の西北には大阪への通勤者のための新興住宅地が広範囲に広がっていて、奈良市の人口約36万人の45%に当たる約16万人が住む地域であり、大阪市奈良区と言っても良い位である。このことは京都の人は意外にご存知ないと言うことに気が付いた。
  そこで今回はこの旧・新の二面について記すことにした。

1.所謂昔からの旧い奈良

  奈良に向かう近鉄電車は大和西大寺を発車すると、左に大極殿、右に朱雀門を眺めながら広い平城宮跡を突っ切る形で通過し、地下の奈良駅に到着する。地上に上がればもうそこは奈良公園の入口である。幕末から明治の廃仏毀釈により、沢山あった興福寺の塔頭が廃され、その跡地を整備したのが現在の奈良公園の基礎になり、その後拡張された。JR奈良駅からは少し距離があるので、市内循環バスの利用が便利である。
・JR奈良駅
  そのJR奈良駅は、2010年(平成22年)の平城遷都1300年記念事業の一環として高架駅になり、それ以前の1934年建築の寺院様式の奈良駅は歴史的価値から保存の要望が多く、曳家で18m移動させて奈良市総合観光案内所となった。この建築物は2007年に近代化産業遺産、2011年に土木学会選奨土木遺産となっている。(写真:下左)
・氷室神社の枝垂れ桜
  JR奈良駅または近鉄奈良駅から市内循環外回りバスで奈良国立博物館前(氷室神社前)で下車すると、奈良市では有名な境内の枝垂れ桜を見ることが出来る。(写真:下中)
  氷室神社の歴史は古く、710年に建立され、平城京へ冬季間に氷室でできた氷を献氷する役割を担っていた。この為現在でも5月1日に全国の製氷業者が集まって献氷祭りが行われている。(写真:下右) 氷が祭壇に献上されているのが見える。

JR奈良駅と奈良市総合観光案内所

氷室神社の枝垂れ桜

氷が祀られている氷室神社祭壇