箸墓古墳の東に位置するホケノ山古墳を除けば、いずれの古墳も纏向遺跡中心部分から南西部へ100~500mの至近距離にある。
これらは、古墳時代初期の3世紀前半に築かれたものとされ、その特徴をあげると
1.纏向型前方後円墳(ホタテ貝型、下図「古墳の形」参照) と呼ばれる特別な形で後円部の直径と前方部の長さの比率が、ほぼ2:1となっており、しかも全長が90m前後という規格性をもっている。
2.このタイプの古墳は、北は福島から西は鹿児島まで全国に30数基あり、「クニ(都市)の連合の証」として、この纏向遺跡を頂点に、各地に波及したものと考えられている。
3.土器や鏡、祭祀用の木製品など当時の副葬品が多く発掘されている。
上記の考察からこれらの古墳の築造時期は、箸墓古墳より古く、前方後円墳に発展する起点となった初期の古墳群と推定される。なお、被葬者は初期倭王権の樹立にかかわった一族や、卑弥呼の血縁者という説もある。
(参考文献)
・HASHIHAKA 始まりの前方後円墳(桜井市立埋文センター)
・大系日本の歴史―古墳 時代(和田萃 小学館)
・日本の古墳遺跡5―奈良中部(森浩一・寺沢薫ほか 保育社)
・日本の歴史―倭人争乱(田中琢 集英社)