1.はじめに
興味の始まりは、毎年11月上旬、上賀茂神社で行われる「京都農林秋祭り」に私が参加している関係で、かねてから、葵祭を見たいと思っていた。木々の若葉も目に鮮やかな5月15日、生まれて初めて葵祭を見物する機会を得た。古くは6世紀中頃、凶作が続き、五穀豊穣を祈願して、賀茂氏と朝廷の行事として始まり、平安時代以降、国家的な行事となった。今も我が国の祭りの中で、数少ない王朝風俗の伝統が残っている。ところで、葵祭は下鴨神社と上賀茂神社の例祭であるので、古くは「賀茂祭または北の祭り」と呼ばれていた。葵祭と呼ばれるのは1694年(元禄7年)に祭りが再開され、そこで内裏宸殿をはじめ、牛馬に至るまで、すべて葵の葉で飾るようになってからである。
2.第42回式年遷宮
式年遷宮は840年前から続いており、20年に一回の遷宮が今年も行われた。今回、上賀茂神社と下鴨神社の両社に赴くことは物理的に無理なので、上賀茂神社を中心に、行列と催事を見学することとなった。大鳥居の前に来て、秋の農林祭りとは違う真新しい朱色の大鳥居がそびえ建ち驚かされた。