< IT 画文集  >     左 近 茂 樹   1/4          

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ひねもす のたり 寝たりかなー入院の記


入院するまで
 15年前に膵臓の尾部に嚢胞(液体の入った袋状のもの)があることが分かった。以来定期的にCTやMRIによって嚢胞の形状や大きさの変化をトレースしてもらっていた。そして消化器系の腫瘍マーカーでは、毎年ずっと基準値内で推移していたが、今年の5月、突然高値となった。ところが翌6月では再び元の基準値に戻った。高値は何を意味するのか?また一か月後なぜ基準値にもどったのか・・・?医師も判断しかね、精査することになり、MRIの検査を受けることになった。
 結果、嚢胞がやや大きくなり、中にポリープのようなものが見つかった。ポリープは“ガン化のサイン”とも言われるが、専門の医師でも画像だけではこれがなにものか分からないらしい。これを突き止める検査方法が今の医学ではまだ見つかっていない。
 担当の消化器内科の医師は、嚢胞を持っている人は世の中に沢山おり、ガンになるケースは少ない。だから放置して様子を見るということも考えられるが、問題はこのポリープが悪性であったり、また嚢胞がさらに大きくなって破裂したりする危険がある。定期的に検査していてもいつ破裂するかとらえきれない。このようなことが起これば重度の膵臓ガンになるかもしれない。ポリープができた嚢胞をそっくり切除するのがよいと私に告げた。医師の見解を聞いて切除することにした。私の意思を確認した医師は即座に手術を担当する消化器外科に連絡してくれた。
それからは手術に欠かせない情報収集のための術前の検査・処置が始まった。改めて血液検査、MRIに始まり胃カメラ、大腸検査、PET(西大路御池・坂崎診療所にて)、歯科でのぐらぐら歯の抜歯などだ。一か月間かかった。まるで人間ドックを受けたみたいだった。
 そして手術日の前日、病院側の要請で家内も同席し、手術を担当する医師団から 手術の説明を受ける。膵臓はじめ周辺臓器の図解にはじまり、手術方法、手術によって起こり得る出血・輸血、縫合不全、糖尿病、肺炎、腸閉塞などの合併症について、 最悪の状態を視野に入れた事細かい説明が延々1時間も続いた。不安がどんどん広がっていく。膵臓ガンはガンの中でも厄介な奴だ。ついに覚悟を決めなければならない時が来たのか・・・。このオリエンテーションは本当に気が滅入ってしまった。

入院の記
 手術が終わった。幸いにも大出血や縫合不全もなく合併症も発症していない。しかし、大手術した後だ。当然痛みや発熱があるだろうと身構えていたが、予想に反して痛みが全くない