< IT 画文集  >     左 近 茂 樹   3/4          

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 切除個所の位置決め、出血しないように・・、合併症を起こさないように・・等慎重に丁寧に進めていく・・・・・。そんなことがあって多分8時間に及ぶオペになったのだろう。短気な性分の私には到底できないことだ。手術を行う医師の大変さ・凄さを今回初めて知った。
 後で、担当した若いほうの医師に尋ねた。「8時間もの間、トイレにもいかず、食事もとらず、ひたすら患者に向かうことができる先生たち、イライラせず、集中して取り組むための何か特別なトレーニングってあるのですか」先生、答えて曰く。そのための訓練を受けたり、トレーニングしたりしない。私の場合、難関の医学部に入るために勉強一筋の努力をしてきたことが集中力、辛抱強さのベースになったと思う。

看護師(団)のこと
 6人の相部屋で、私は左側の真ん中だった。いろんな患者が病気を治すために頑張っている。隣のベッドは痴呆症の入った高齢の老人だ。点滴するため腕に注射針がテーピングされているが、無意識に(だと思う)何度もそれをはがそうとする。そのため腕が動かないように拘束具を付けられていた。また、血液検査で注射されると、大きな声で「お前、何をしやがる、やめてくれ、痛い、痛い!」と喚き散らす・・・。 看護師は決して怒ったり、脅かしたりしない。「お爺ちゃん、点滴はご飯の代わりなんだから辛抱してね。痛いの、ごめんね、もう少しで終わるからね・・・」とか、終わったら「お爺ちゃん、お疲れ様」とやさしく声をかけていた。
 また術後回復が思わしくない患者だろうか、そのイライラを看護師にぶつけている。「こんな薬を飲んでどんな意味があるのか」、「数値が少しもよくならないではないか。もっとほかのやり方があるのではないか」疑問に思うなら医師に尋ねればよいものを、それをせずに看護師にあたりちらし、看護師を困らせている。「爪切り持ってきて」、「もっと熱いタオルにかえて持ってきて」・・・こんなわがままを言う患者もいる。
 患者の発する罵詈雑言にいちいち反応せず、決してキレず、不快感を顔に出さず、 明るい声でてきぱきと行動し、イライラなどをなだめるように辛抱強く患者に接している。
 本当にいろんな患者がいるが、その一人一人の状況に応じて、臨機応変に患者と接する姿を見るにつけ、看護師は医師と共に入院患者の全生活をサポートすることが使命と思っているなあと感じた。ここの看護師は女性も男性も、レベルが高い。本当に誰もが患者に寄り添って忙しく対応してくれている。 私たち患者は体を元に戻してもらうために入院している。無理して優等生の振る舞いはする必要はないが、感謝の気持ちをもって、少なくても看護師の言うことを素直に聞くことが重要だろう。