<IT画文集私の醍醐味> 平 陸男 2/5

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日本泌尿器学会の膀胱癌治療ガイドラインでは膀胱内筋層や外壁まで浸潤した膀胱癌患者は膀胱摘出が推奨されている。大阪医大ではBOAIを適用した膀胱温存治療で90%以上成功の実績を持つ。そのため働き盛りで他病院で膀胱摘出と診断された患者が全国から膀胱温存治療を希望して集まって来る。小生の入院中も同じ病室の半数以上がBOAIの治療者ということもあった。 初診後、造影剤CT、MRIの検査後12月28日治療方針の説明を受ける。癌は膀胱外部にまで浸潤、前立腺への転移も疑われる。1月3日入院、4日TURBT手術(膀胱内視鏡がん細胞切除)と決まった。入院に備え肺機能検査、心電図、心筋シンチ検査をしたところ心房細動の疑いあり、入院中の1月7日に循環器科受診となった。生まれて初めての入院である。看護師から施設の説明の後、手術担当医師よりTURBT手術の内容の説明を受けた。右図が手術の説明図で尿道におよそ8ミリの内視鏡とループ状の電気メスを供えた切除鏡を突っ込み腫瘍部をメスで切除しながらガン組織を掻き出す手術である。13時に手術台に仰向けに寝かされ点滴の針や心電計・パルスメータなどのバイタル機器や酸素マスクを付けられ全身麻酔で意識がなくなった。終わりましたよと声を掛けられ移動用ベッドに載せられ朦朧としながら病室に着いたのは17時30分。手術時間は4時間以上、癌が5センチと大きかったので切除ループで掻き出すのに時間がかかったとのこと。尿道カテーテルに膀胱洗浄液と尿バッグを付けられ、抗生物質・電解液・痛み止めの点滴を受けながら絶対安静と言われ身動きできない。翌日尿道カテーテルが詰まりポンプで洗浄。以降は徐々に痛みも治まり、食欲も戻り、膀胱からの血尿の色も薄くなり手術5日目に尿道カテーテルを抜いた。一方7日の循環器科診察では心房細動と宣告された。膀胱癌治療に目途が立った時点で治療することになった。とりあえず1月10日退院。荷物を曳きながら高槻駅まで歩くとトイレでドバっと血尿が出た。入院中ほとんど歩かなかったが駅まで歩いただけで血尿が出るとはと思いながら帰った。次の日もほとんどは透明に近い尿だが日に1回は血尿が出る。血尿は以降完治するまで断続的に続く。1回目の手術で膀胱内の5センチのワカメ状の腫瘍は切除したが、実際に手術してみると画像診断より膀胱癌は大きさの割には根は浅く、筋層まで浸潤しておらず粘膜層に留まっていた。2月9日、主任教授自ら2回目のTURBT手術を執刀、膀胱粘膜内に残った腫瘍の根を完全に切除した。手術後の膀胱内の細胞診でもがんは見つからず完全に消えたので当初説明を受けた放射線治療やBOAI治療は不要、健康保険内の治療でOKとなる。今後は再発を注意深く経過観察することになると言われた。