<IT画文集私の醍醐味> 平 陸男 5/5

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このように1年間の膀胱癌闘病を通じてわかったことは
① がんは顕著な症状が現れることなく、自覚症状もなく、知らず知らずのうちにどんどん進行する。定期健診が大切であることは言うまでもないが小さな異変を見逃さず注意深い精密検査と早期発見が重要である。症状が顕れた時には「がん」はかなり進行している事が多い。
② 一般にがん治療は患部を手術して除去してしまうという治療が主流(手っ取り早く勝負がつくのでそのように考えている医者が多いので学会でのガイドラインもそのような考えが多い)となっているが臓器摘出によるデメリットも考えて時間はかかるが温存治療も検討してみる必要がある。特に高齢者は臓器摘出によるQOL(生活の質)が問題になる事が多いと聞く。医学は特に抗がん剤やがん治療法は徐々に確実に進歩して色々な治療法が開発されている。最近がん細胞だけを破壊する赤外線光免疫療法やがんの生存や転移に欠かせないタンパク質を標的とする全てのがんに効く抗がん剤が開発され米国で既に治験中であるとのニュースもある。長生きすれば医学の進歩の恩恵に授かることになる。また、最初に診てもらった医者が最新の治療法を全部勉強しているとは限らない。
③ 病気について自分で調べ、納得する治療を受ける。転院やセカンドオピニオンを躊躇しない。知らなければ最初に受診した病院の治療が唯一最良の治療と思ってしまう。学会のガイドラインは平均のレベルと思うべきであり、普通の病院は学会のガイドラインに沿った治療をする。その方が問題が起こった時に言い訳が出来て楽であろう。病院を選ぶ時に例えば病気の治療数の一番多い病院を選ぶのも一つの選択肢である。学会のガイドラインに沿った治療でなく病状の変化に対して病院が経験した豊富な過去の治療内容から最適な治療を選んでくれることを期待出来る。尿管癌や腎盂癌の治療のLRV(内視鏡レーザ治療)は大阪医大独自の治療である。また抗がん剤治療ではゲムシタビンは学会推奨1000mgを1700mg、シスプラチン70mgを83.7mgと治療経験から増量濃度(患者の身長体重から独自に計算した濃度)を投与するなどして病気を治す最良の方法を試している。今回は必要なかったがBOAIは医科大独自の治療法で治療実績を上げている。患者もよく知っていて日本中から集まって来る。治療数日本一はそれなりの理由がある。患者も自分の事であるので病気の治療の最新の情報を調べて医者に自分の疑問や希望をぶっつけて納得して治療を受ける必要があるのではないか?
④ 「病は気から」決して諦めない。途中、尿管や腎盂にがんが転移してどこまで広がるのかと滅入った時もあった。しかも同室の患者は同じ症状からがんが悪化して腎臓摘出したと聞いた時には自分の選択が間違っていたのではないか最初の病院であっさり膀胱摘出した方が良かったのではないかと絶望的な気持ちになった。結果として論文の治癒率15%のGC抗がん剤とレーザ治療が効いた訳であるが同じ治療を受けても前述の患者はガンが悪化したのに自分が完治したその差は患者のDNAなのか持っている免疫なのか説明はない。このあたりが今後研究によって科学的に明らかになると納得出来るが理由が判らなければ「運」とか「奇跡」になってしまう。今後の研究の成果に期待したい。最後は自分の選んだ医師を信用して任せるしかない。気持ちを切り替え前向きになれば免疫力も増え「運」や「奇跡」が訪れることもある。